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2024.01.22
この秋に発売が発表されたDJI AGRAS T25は、農業ドローンの「ゲームチェンジャー」といわれています。
今回は、その所以の一つ、圧倒的な散布効率にフォーカスして、解説いたします。
目次
1.はじめに
2.野菜の例
3.果樹の例
4.まとめ
1.はじめにDJI AGRAS T25は世界シェアNo.1 日本シェアNo.1のドローメーカーDJIから約2年ぶりに発表された農業ドローンの最新機種です。弊社でも既に予約注文受付を開始いたしました。 (2024年1月5日時点での発注で年度内納品可。以降、注文時納期確認)
▼T25製品ページ(DJIオフィシャルサイト)
https://ag.dji.com/jp/t25
▼T25お披露目イベントでの弊社スタッフインタビュー(Drone Channel / 藤本ひろき YouTubeチャンネル)
https://youtu.be/40dLACHxrhQ?si=9t-e_LlicndT162J
T25は、大きく分けて下記の3点から圧倒的な散布効率を誇っています。
➀最大吐出量が24L/分とこれまでと比べ、一数倍の散布効率となった点
➁液滴サイズが50µm~500µmに変更できる点
➂バッテリー3本で最大480Lの散布が可能な点
以上の機体性能を持つT25の登場によって、農業ドローンの世界が変わります!
「無人航空機での散布」と「散布」の違いDJI AGRAS の操縦ライセンスを取得する際、受ける講習内容の中に、「農薬ラベルの読み方」の章があります。
これは、農薬散布をする者は、農薬の適正な使用方法について理解したうえで使用しなけばならないためです。
農薬の実物を目にしたことがある人は、農薬ラベルに希釈倍率や10a当たりの散布量などが記載されているのを
目にしていると思います。この欄を右に向かって読み進めていくと、農薬の使用方法を記載する欄があり、
ここで無人航空機での散布に適した農薬の場合、「無人航空機での散布」と記載があります。
▼とある農薬のラベルの記載内容
しかし、ここで重要なのは、「無人航空機での散布」と記載されていない場合、ドローンで使用してはいけないのか?という問題があります。これの答えはこちらに記載があります。https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/nouyaku.html
見つけられましたでしょうか?そうです。「散布」とだけ書かれた農薬も、諸条件を整えることで、無人航空機で散布をおこなうことができるのです。ではなぜ、無人航空機での農薬散布が、水稲・麦・大豆などがメインでその他の作物への散布があまり多くないのでしょうか?これにも答えがあります。それはドローンの積載量が地上防除で使用される機材よりも少なく、最大吐出量が多くないため、その作業を行うために時間が掛かりすぎるからなのです。
さて、ここまでお読み頂いた方には、T25の凄さがお分かりになってきたかと思います。T25はタンク容量が20Lのため、RTKを用いた自動航行であれば、離陸→20L散布→着陸を約1分弱で終えることができます。
また、バッテリーの効率も良くなっているため、この作業を繰り返し、7回ほど行うことが可能です。農薬をタンクに注水する時間を差し引くと、10分以内に20L×7回=140Lの散布が可能なことが分かります。満充電のバッテリーが、3本あれば、140L×3=420Lが30分掛からずに終わってしまうのです。
2.野菜の例それでは、T25の圧倒的な散布効率のお陰で実際に散布が可能となった作物について見ていきしょう。
明日葉/あずき/アスパラガス/いんげんまめ/ウコン/枝豆/大葉/オクラ/カブ/かぼちゃ/カリフラワー/キャベツ/きゅうり/きく/ごぼう/ごま/小松菜/コメ/小麦/ゴーヤ/かんしょ/里芋/さやいんげん/さやえんどう/ししとう/すいか/せり/ばれいしょ/ズッキーニ/そら豆/ターサイ/大根/たばこ/玉ねぎ/てんさい/チンゲン菜/とうもろこし/トマト/なす/にら/にんにく/人参/ネギ/白菜/パセリ/ピーマン/ブロッコリー/ほうれん草/水菜/みょうが/メロン/モロヘイヤ/ヤーコン/落花生/らっきょ/レタス/やまのいもなど
まだまだ私の確認不足があるかもしれませんが、取り急ぎ上記の野菜であれば、100~300L/10aの散布量での農薬の登録があるため、T25であれば、10aあたり数分で散布を完了できます。これらの野菜の中には、栽培期間中の防除回数が多い作物もあります。水稲の様に防除回数が少ない作物であれば、自動航行タスクを作成する時間を掛けるぐらいであれば、手動で散布を行ってしまうという方も一部ではいらっしゃいましたが、こうした散布量の多い作物には、ネットワークRTKを使用した自動航行での散布がお勧めです。
ネットワークRTKを使用した自動航行とは?ドローンは通常、GPSやみちびき(準天頂衛星システム:QZSS)などから発せられる電波を受信して行う衛生測位システムによって、自機の位置を確認、飛行を行っています。しかし、これだけでは、電波が、大気の影響などを受け、地上に到達するまでに遅延し、数m程度の誤差を生じることが知られています。これに対し、ネットワークRTKとは、これらの観測に含まれる誤差を日本全国に設置された電子基準点のリアルタイム観測データ等を利用して補正することで、リアルタイムでcm級の測位を効率的に行う方式です。T25で自動航行を行う際には、この機能を使用することが推奨されます。ネットワークRTKのサービスを利用するにはいくつかのサービス提供会社があり、月額使用料が掛かる場合がありますが、詳しくはお問い合わせ下さいませ。
▼葉物野菜(キャベツ)への農薬散布の事例紹介 https://x.gd/bucEH
3.果樹の例あんず/いちじく/うめ/かき/さくらんぼ/すもも/なし/ふさすぐり/ぶどう/ブルーベリー/マンゴー/みかん/もも/ネクタリン/りんご/レモンなど
前章の野菜の例同様に、10a当たり700L以下の散布量で使用可能な農薬が確認できた果樹の例です。これまでより、柑橘類の防除においては無人航空機の活用は進んでおり、これは柑橘類において、濃厚少量散布が可能な農薬が数種存在したことが大きいが、T25の散布効率のお陰で、濃厚少量散布ができない農薬でも使用できることになりこれらの散布も今後増えていくことが予想されます。なお、柑橘類への無人航空機の散布に関しては、Web上で以下の様な検証レポートが公開されているため、共有いたします。
静岡県 農林技術研究所 果樹研究センター
https://www.kajuken-shizuoka.jp/sj/r01kaju-2.pdf
https://pssj2.jp/abstract/files/seizai39_s4.pdf
愛媛県 農林水産部 農林水産研究所 果樹研究センターhttps://www.pref.ehime.jp/nan54106/documents/13shiryo4.pdf
弊社は、今後もドローンを通じて日本の農業の現場と関わり、農業ドローンの今後の可能性について、皆様に情報提供を行っていく所存です。しかしながら、様々な作物の生産者さんの生の声、ニーズを吸い上げるには、手足が足りず、我々だけではまだまだ深く掘り下げることができていません。本コラムをお読みいただいた方にぜひご協力頂きたく、「T25 なら○○の散布は可能か?」、「○○をドローンで行うにはどうしたらよいのか?」などのご質問を頂ければ幸いです。また実証試験の場所をお貸し頂ける野菜・果樹農家様を募集しております。まずは、水だけの状態で散布が可能か?かけたい場所にかかっているか?などの試験を行えれば幸いです。弊社としては、こうして手に入れた知見やノウハウをAGRAS T25を使用する方々へ提供していきます。
※本コラムは、特定の農薬の使用を推奨するものではありません。農薬の使用に当たっては、各製品ごとの使用方法をよく確認し、万全を期し、自己の責任においてご使用下さい。
DJI AGRAS T25の機体性能、操縦に必要なライセンスなどご不明点がございましたら、お問い合わせフォームまたは下記よりお問い合わせ下さい。
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株式会社スカイロボット
Mail:sales@skyrobot.co.jp
TEL:03-6837-9889
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